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房一は患者の前にもどつて来た。
その外から見れば屋根と築地塀だけのやうな家の前で、三人の男が立つてしきりと話していた。
答へながら、彼は紅くなつていた。
と、小谷は人差指と中指を二本突き出して見せて、
鬼倉は低い声で、はじめてぢつと相手を見た。が、それつきりだつた。動きもしない。徳次は何故ともなく一寸ひるんだ。が、又、
房一はいくらかつんぼの道平の耳に口を寄せて、大声で云つた。
尿には蛋白質はなかつた。排便を顕微鏡でのぞいてみた。いる、いる。蛔虫に十二指腸虫の卵がうんとこさ見えた。
そこに、房一は、酒のために紅くなつてはいるが、そして、まだ額のあたりに筋張つた色が立つてはいるが、稍やゝ前こゞみになつた半白の頭を見た。それは河原町の人などには見られぬ線の粗あらさとどぎつさこそあつたが、想像したよりもはるかに老人だつた。
「今日は士曜日で、半休だからね」
房一が云ふと、喜作は突然びつくりするほど大きな口を開けて笑つた。
「きさま!あれほど云つたぢやないか。何んだこの真似は!」
「それをよこしたまへ。二足なんていらんよ」
「うむ、判る?――ね?」
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